助成金と制度改正ガイド

採用・定着に使える国の助成金一覧(令和8年度)|目的別の早見表と申請の注意点

令和8年度(2026年度)の厚生労働省の雇用関係助成金・労働条件等関係助成金から、採用・正社員化・定着・賃上げに使えるものを目的別に整理。金額、事前に出す計画、申請期限、令和8年3月末で廃止されたコースまでまとめます。

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  • 採用担当者・事業所の管理者向け

この記事の要点

  • 令和8年度の雇用関係助成金は、2026年4月7日の予算成立を受けて4月8日に確定しました。支給要領の最新版は「令和8年9月10日現在」です(当サイト確認時点)。
  • 2026年3月31日で廃止: キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」、特定求職者雇用開発助成金「成長分野等人材確保・育成コース」、早期再就職支援等助成金「UIJターンコース」。
  • 雇入れ系(トライアル雇用・特定求職者雇用開発)は、ハローワークなどや、同意書を出した職業紹介事業者等の紹介で雇うことが条件です。
  • 計画を先に出さないと対象外になる助成金が多くあります。支給申請は原則、要件を満たした日の翌日から2か月以内です。
  • 業務改善助成金の申請は令和8年9月1日から「最低賃金の発効日の前日」と「11月30日」の早いほうまで。働き方改革推進支援助成金の交付申請は2026年11月30日まで(予算到達で早まることあり)。

厚生労働省所管の助成金のうち、業種を問わず使えるものを中心に整理しています。金額と要件は令和8年度版(2026年4月8日時点の簡略版、2026年9月10日現在の支給要領)にもとづきます。申請の前に、必ず最新の支給要領と管轄の労働局で確認してください。

採用や定着の取り組みには、国の助成金を使えるものがあります。ただし助成金は、取り組む前に計画を出す、決められた経路で採用するといった条件を満たさないと、あとから申請しても対象になりません。令和8年度(2026年度)の制度を、採用担当者が使いやすい「目的別」に整理しました。

01目的別の早見表

就職が難しい人を試行的に雇う

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

1人 月額最大4万円×最長3か月(母子家庭の母等は月額最大5万円)

トライアル雇用求人を紹介元に提出、雇入れ後2週間以内に実施計画書

高年齢者・ひとり親・障害者などを雇う

特定求職者雇用開発助成金

例: 60歳以上・母子家庭の母等 中小60万円/大企業50万円

ハローワーク等の紹介が条件

有期・パートの人を正社員にする

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

有期→正規 中小40万〜80万円/大企業30万〜60万円

取組の前日までにキャリアアップ計画

人事制度・機器の導入で離職率を下げる

人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)

制度 各20万〜50万円(合計上限80万〜100万円)、機器 経費の1/2(上限150万円)ほか

導入月の初日の6か月前〜1か月前に整備計画

育児・介護と仕事の両立を支える

両立支援等助成金

例: 育休中の業務代替 手当の3/4(上限月10万円)

コースごとに要件・期限が異なる

従業員の研修・訓練

人材開発支援助成金

例: 人材育成支援コース 賃金助成1時間800円(中小)+経費の一部

訓練開始日の6か月前〜1か月前に計画届

事業場内最低賃金を上げ、設備投資する

業務改善助成金

50円・70円・90円の3コース、上限最大600万円

賃金の引上げは申請の後に行う

労働時間の削減・休暇の取得促進

働き方改革推進支援助成金

例: 勤務間インターバル導入 11時間以上で上限150万円

交付申請は2026年11月30日まで

出典: 厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」ほか各助成金のパンフレット。金額は主な区分の例で、要件により変わります。

02令和8年度の主な変更(廃止されたコース)

次のコースは2026年3月31日で廃止されました(2026年4月1日より前に取り組んだ分は、従前の例で支給されるものがあります)。

  • キャリアアップ助成金「社会保険適用時処遇改善コース」 — 短時間労働者の社会保険加入時の処遇改善は、「短時間労働者労働時間延長支援コース」で支援する形になりました。
  • 特定求職者雇用開発助成金「成長分野等人材確保・育成コース」
  • 早期再就職支援等助成金「UIJターンコース」 — 古い案内ページが残っていることがあるので注意してください。

業務改善助成金は、コースが30円・45円・60円・90円の4区分から、50円・70円・90円の3区分に再編されました。

03雇入れ: トライアル雇用・特定求職者雇用開発

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験の不足などで安定した就職が難しい求職者を、原則3か月の有期雇用で試行的に雇い、常用雇用(無期・週30時間以上)への移行を目指す事業主への助成です。

  • 支給額: 1人あたり月額最大4万円、最長3か月(母子家庭の母等・父子家庭の父は月額最大5万円)。実際に働いた日数に応じて減額されます。
  • 対象者の例: 過去2年以内に2回以上離職・転職している人、離職期間が1年を超えている人、妊娠・出産・育児で離職し安定した職業に就いていない期間が1年を超えている人など。
  • 手続き: 事前にトライアル雇用求人を出し、雇入れから2週間以内に実施計画書を提出。終了日の翌日から2か月以内に支給申請します。

「お試し勤務」と「トライアル雇用」は別の制度です

トライアル雇用は3か月の有期雇用契約で、雇用保険にも加入させる制度です。採用前の1日の職場体験や見学とは違います。

特定求職者雇用開発助成金

高年齢者、障害者、母子家庭の母等など、就職が特に難しい人を継続して雇う労働者として雇い入れた事業主への助成です。主な支給額は次のとおりです。

対象者中小企業大企業
60歳以上(個別支援を受けている人)、母子家庭の母等60万円50万円
身体・知的障害者(重度以外)120万円50万円
重度または45歳以上の身体・知的障害者、精神障害者240万円100万円
中高年層(35〜59歳、正規雇用で雇う場合のみ)60万円50万円
出典: 厚生労働省「令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)」。週20〜30時間の短時間労働者は別の額です。

65歳以上まで継続して雇い、2年以上の継続雇用が確実であることなどが要件です。再雇用の上限年齢など、就業規則が要件に合っているかも事前に確認しましょう。

04採用経路の要件に注意

トライアル雇用と特定求職者雇用開発助成金は、ハローワーク・地方運輸局、または「雇用関係助成金の取扱いに係る同意書」を労働局に出した職業紹介事業者等(同意職業紹介事業者等)の紹介で雇い入れることが条件です。同意していない紹介会社、求人広告、知人経由の採用は対象外になります。

  • 同意職業紹介事業者等かどうかは、厚生労働省の都道府県別の一覧(令和8年8月20日現在)や、事業者が示す「雇用関係助成金取扱事業者証」で確認できます。
  • トライアル雇用には、紹介より前に、その人の選考を始めていないことという要件もあります。見学や面談を紹介の前に行った場合の扱いは要領に明記がないため、事前に管轄の労働局に確認してください。
  • キャリアアップ助成金・人材確保等支援助成金・両立支援等助成金・人材開発支援助成金には、採用経路の要件はありません。

05正社員化: キャリアアップ助成金

有期雇用・短時間などの非正規雇用の人を正社員にした事業主への助成です(正社員化コース)。

対象者転換中小企業大企業
重点支援対象者(2期に分けて支給)有期→正規80万円60万円
重点支援対象者(2期に分けて支給)無期→正規40万円30万円
上記以外有期→正規40万円30万円
上記以外無期→正規20万円15万円
出典: 厚生労働省「キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)」(令和8年4月8日現在)
  • 取り組みの前日までに「キャリアアップ計画」を労働局に出します。
  • 転換前に、正規雇用とは別の雇用区分で通算6か月以上働いていること、転換後6か月の賃金を転換前より3%以上増やすことなどが要件です。
  • 正社員として採用することを約束して雇った人は対象外です。最初から正社員で募集・採用した人には使えません。
  • 正社員転換制度や、勤務地限定・職務限定・短時間正社員などの「多様な正社員制度」を新たに規定すると加算があります。

06定着・両立・育成

人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)

賃金規定・諸手当・人事評価などの制度や、メンター制度・1on1などの職場活性化制度、従業員の作業負担を軽くする機器を導入し、離職率を下げた事業主への助成です。制度は各20万〜50万円(合計の上限80万〜100万円)、機器は対象経費の1/2(上限150万円、賃金要件を満たすと引上げ)です。

  • 整備計画は、制度・機器を最初に導入する月の初日の6か月前から1か月前までに提出します。
  • 計画期間の後の12か月の離職率を、計画時から1ポイント以上下げることなどが要件で、計画から支給まで2年前後かかります。
  • 旧「介護福祉機器助成コース」は2024年3月31日で廃止されています。

両立支援等助成金

男性の育児休業の取得、育休中の業務代替(同僚への手当・代替要員の雇用)、介護離職の防止、柔軟な働き方の制度などを助成します。シフト勤務の職場では、育休中の業務代替の支援が使いやすいコースの1つです。

人材開発支援助成金

従業員の職業訓練にかかる経費と、訓練中の賃金の一部を助成します。職業訓練実施計画届は、訓練開始日の6か月前から1か月前までに出します。

07賃上げ・労働時間: 業務改善/働き方改革

業務改善助成金

事業場内の最低賃金を引き上げ、生産性向上のための設備投資などを行った中小企業・小規模事業者への助成です。

  • 申請期間: 2026年9月1日から、「事業場のある都道府県の最低賃金の発効日の前日」と「11月30日」のうち早い日まで。都道府県によっては9月末が期限です(厚生労働省のお知らせ、2026年9月24日)。
  • 令和8年度から、賃金を引き上げた後の申請はできなくなりました。引上げは申請の後、発効日の前日までに行います。
  • 引上げの対象は雇用保険の被保険者に限られます。
  • 助成率は、事業場内最低賃金1,050円未満は4/5、1,050円以上は3/4です。

働き方改革推進支援助成金

労働時間の削減、年休の取得促進、勤務間インターバルの導入などに取り組む中小企業事業主への助成です。交付申請の期限は2026年11月30日で、予算額に達すると期限前に締め切られることがあります。建設業・運送業等・病院等(医師)などの業種別コースもあります。交付決定の前に発注したものは対象外です。

08申請の前に確認したい共通ルール

次のいずれかに当てはまる事業主は、雇用関係助成金を受けられません(主なもの)。

  • 不正受給から5年を経過していない
  • 労働保険料を滞納している
  • 支給申請日の前日から過去1年間に、労働関係法令に違反した
  • 暴力団と関係がある、など

また、同じ取り組みや同じ賃金を根拠に、2つ以上の助成金を重ねて受けることはできません(併給調整)。国・地方公共団体(地方公営企業を除く)なども対象外です。

「必ずもらえる」という勧誘に注意

厚生労働省は、国からの委託を装って助成金の申請を勧誘する業者に注意を呼びかけています。不正受給は返還・延滞金・公表の対象になり、刑事罰の対象になることもあります。申請の前に、管轄の労働局に相談するのが確実です。

出典

  1. 令和8年度 雇用・労働分野の助成金のご案内(簡略版)厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク/2026年4月(令和8年4月8日時点)
  2. 雇用関係助成金支給要領(令和8年9月10日現在)厚生労働省/2026年9月
  3. キャリアアップ助成金のご案内(令和8年度版)厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク/2026年4月(令和8年4月8日現在)
  4. トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)のご案内厚生労働省・都道府県労働局・ハローワーク/2026年4月
  5. 雇用関係助成金を取り扱う職業紹介事業者等(取扱事業者一覧は令和8年8月20日現在)厚生労働省/2026年8月
  6. 令和8年度業務改善助成金のご案内/業務改善助成金ページ(令和8年9月24日のお知らせを含む)厚生労働省/2026年
  7. 令和8年度業務改善助成金の一部変更のお知らせ厚生労働省/2026年
  8. 令和8年度 働き方改革推進支援助成金 各コースのリーフレット厚生労働省/2026年4月
  9. 人材確保等支援助成金(雇用管理制度・雇用環境整備助成コース)様式ページ厚生労働省/2026年9月取得
  10. 両立支援等助成金厚生労働省/2026年9月取得
  11. 人材開発支援助成金厚生労働省/2026年9月取得

この記事は法令・公的資料をもとにした一般的な解説です(2026年9月25日時点)。制度は改正されることがあります。個別の判断は、労働局・労働基準監督署・ハローワーク・社会保険労務士などにご確認ください。